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外科医の、寄り道

海外ドラマレビュー「TOKYO VICE -season 1-」

去年からWOWOWでテニスを観るようになってから、オリジナルドラマのクオリティがなかなか高いことを知った。

そんな作品の中で目に留まったのが大好きな映画「HEAT」のマイケル・マンが監督
した、その名も「TOKYO VICE」。

逆さまになった東京タワーがオシャレ

 IMDb: 8/10、Rotten Tomatos: 85%、Metacritic: 75/100となかなか高評価。

 舞台は90年代、東京。明朝新聞に勤める若きアメリカ人記者がネタを掴むために奮闘する中、段々とヤクザの世界とズブズブになっていき、、、。

 まず本作品で特筆すべきは俳優陣の豪華さ。主人公・ジェイク・エーデルスタイン
(実在の記者)を演じるのはアンセル・エルゴート。どっかで観たことあるな…程度だったが、後から調べたらベイビー・ドライバーに主演してたみたい。この映画はイマイチ
だった。。

 むしろ日本人の我々からしたら、脇を固める俳優がより豪華。硬派だが家庭を愛する刑事を演じるのは渡辺謙。主人公の上司役に菊地凛子(バベル以来久しぶりに見た)。メインとなるもう一人の刑事には伊藤英明。うーん正直、刑事役には少し男前すぎる。
Line of dutyシリーズみたいなパッとしない平凡顔の方がリアルで嬉しい。
ヤクザ役の俳優たちもみんなキャラが立っていて素晴らしく、石橋蓮司もチラッと出てくるあたり「わかってるな。。」という感じ。

 海外ドラマで描かれる日本と言えば、ひと昔前まで「なんか違う」感が満載で、
日系人がペラペラの英語で喋ったり、日本人ぽくない行動や感情表現をして??というイメージだった。しかし最近の(動画配信サービスが始まった影響?)日本を舞台に
したドラマはクオリティが一層上がっている。
 少し前にNetflixで見たGiri/Hajiも、これもヤクザモノだが結構良かった。まぁ、BBC
制作だし。

 そしてこのドラマに出てくるキャラクター、みんな「カッコいい」のだ。90年代東京という時代設定が既にイケてる。主人公の記者はアメリカ人だがいわゆる「タフガイ」タイプではない。甘いマスクに長身のいわゆるイケメンで、向こう見ずでハングリー
精神旺盛な所に好感が持てる。
 硬派な刑事、渡辺謙。はい、かっこいい。善・悪のグレーゾーンを行く伊藤英明
かっこいい。部下を厳しくも導く女上司、菊地凛子。かっこいい。その他ヤクザの皆
さんも総じてカッコいい。 

 そんな中、一押しポイントは千原会に所属するヤクザ・佐藤を演じる笠松将
見事に、欧米人ウケがしそうなルックス。渡辺謙とか真田広之は結構濃い顔で、個人的にはブラピやディカプリオと並んでもいいくらいに渋カッコいいと思う。
この俳優は2人に比べて男前度は劣るが、日本人の持つオリエンタルなエキゾチックさと物静かさを兼ね備え、それでいて力強さを感じさせる独特の雰囲気に包まれている。これからブレイクしそうな予感がするなぁ。

 ここまで背景的な部分ばかりについて書いてきたが、ストーリーも飽きの来ない展開でテンポも良い。ヤクザドラマと言えば刃傷沙汰など残酷なシーン目白押しのイメージだが、本作品では全然許容レベルだ。嬉しいことに来年にはシーズン2が公開される
とのこと。今回のラストがあまりにも突然だったので、次回作が待ち遠しい。